工事費負担金のしくみ — 受電のために需要家側が負担する費用

送配電網の費用を誰が負担するか。高圧の「無償こう長」、特別高圧の「当社負担額」、予備線・専用設備の全額負担、支払時期と精算、エリアごとの単価。

最終更新: 2026-11-04

1. 送配電網の費用は3つで回収される

国の整理では、送配電網の費用は ①需要家・発電事業者が着工前に払う工事費負担金、②エリアの全需要家が払う託送料金、③発電側課金、の3つで回収されます【WG10】p10。

系統の上の方(上位系統)の整備費は「エリアの広範囲に裨益することを前提に全額一般負担と整理されている」とされ、個別の需要家の負担金には入りません【WG3】p14。個別に負担する部分を「特定負担」、託送料金で回収する部分を「一般負担」と呼びます。

2. 約款上のルール(東京電力パワーグリッドの例)

区分 負担のルール 条項
高圧・低圧の引込み 新しく施設する工事こう長が架空1,000m/地中150mを超える部分だけ負担。1mあたり架空3,520円、地中27,830円 【東電約款】70(1)イ
特別高圧 工事費(100mあたり・新増加契約電力1kWあたり: 20kV 583円、60kV 198円、140kV 99円)が、送配電会社の負担額(1kWあたり5,500円)を超えた分 【東電約款】70(1)ロ
標準を超える設計を希望した場合 標準設計の工事費を超える金額 【東電約款】70(2)イ
専用供給設備(その需要家しか使わない設備) 工事費の全額 【東電約款】65, 70(2)
予備供給設備(予備線・予備電源) 工事費の全額 【東電約款】70(2)ロ
用地・補償 土地費は工事費に含まない。架空線の経過地の地役権設定費・線下補償費は50%を工事費に含める 【東電約款】70(4)イ

3. 高圧の超過単価(架空/地中、1mあたり)

エリア 架空 地中
東京 3,520円 27,830円
中部 3,410円 27,500円
関西 3,410円 26,840円
中国 3,520円 28,050円
四国 3,410円 27,280円
九州・沖縄 3,410円 27,170円

無償こう長(架空1,000m・地中150m)を超えた部分にかけます。上記以外のエリアはエリア別ガイドの各ページをご覧ください。

4. 支払時期と精算

  • 支払いは原則として工事着手前です。送配電会社の工事は負担金の入金後に始まります【WG3】p16。
  • 特別高圧の需要は、供給承諾から3か月以内に入金しないと契約申込みが取り消されます(2026-10-01 から)【東電約款】71(1)。
  • 工事完成後に精算します。使用開始から3年以内に他の需要家と共用になった場合などは、差額が返還されます【東電約款】71。
  • 供給開始前に契約を廃止・変更した場合は、送配電会社が要した費用の実費を請求されます。工事前でも測量・監督等の費用はかかります【東電約款】72(1)。
  • 供給開始後1年未満で契約電力を減らした場合は、料金の割増しと工事費の差額精算があります【東電約款】54。

30MW以上の大規模需要では、計画した契約電力に届かなかった場合の費用精算が2027年4月の導入を目標に検討されています。→ 大規模需要の新しいルール

5. 費用感の例(公表されている算出例)

東京電力パワーグリッドのウェルカムゾーンマップには、66kV・20,000kW の算出例が載っています【東電WZM】。

条件 本線 予備線 合計
66kV 架空・3,050m 10,780,000円 24,156,000円 約3,494万円
66kV 地中・1,050m 14,740,000円 24,948,000円 約3,969万円

予備線の負担が本線より大きくなっている点に注意してください。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。