東京エリア(東京電力パワーグリッド)— 需要側の系統申込ガイド

東京電力パワーグリッドの区域でデータセンター等が受電するまでの手続き。需要者がWebで出す事前協議と小売が出す事前検討の2本立て、2026年10月からの特別高圧の新ルール、工事費負担金、需要者向けの供給余力マップ。

最終更新: 2026-11-04

本文中の【 】は末尾の「出典」の略号です。

このエリアのポイント

  • 手続きは「事前協議」と「事前検討」の2本立てです。事前協議は需要者・電気工事店・電気主任技術者等がWebで申し込めます。事前検討は契約者(小売電気事業者等)がメールで申し込みます【事前協議ページ】【約款】9(2)【アクセスルール】6.4.1。
  • 事前検討の回答は、約款上は申込みから原則2週間以内(工事の要否・工事種別)です。工事費負担金の概算・所要工期は、要望すれば回答されます【約款】9(2)ニ PDF p27【アクセスルール】6.4.3。
  • 2026-10-01 から特別高圧の需要側申込みに新しいルールが始まっています。需要家の都合による不備・変更での取消、供給承諾から3か月以内に工事費負担金を払わない場合の取消などで、10月1日より前の申込みも対象です。高圧(2,000kW未満)には適用されません【改定概要】p7〜11【約款】71(1)。
  • 需要者向けに「WELCOME ZONE MAP」(2025年12月時点)と「大規模供給ポテンシャルマップ」(2026-08-31作成)を公開しています【WZM】【ポテンシャルマップ】。

1. 申込みの流れ

高圧・特別高圧とも、骨格は同じです【申込の流れ】。

段階 申し込む人 期間の目安
⓪ 事前協議(任意・推奨)。供給事前協議申込WEB受付サービス 需要者・電気工事店・電気主任技術者等(小売電気事業者でなくても可)【事前協議ページ】 登録の翌日から5営業日を目途に初回の連絡があります。特別高圧・予備線付き・大容量の場合は「供給対策検討」が入り、期間はエリアと申込状況によります。WELCOME ZONE MAP には「事前協議(1年以上を要す場合がございます)」とあります【事前協議ページ】【WZM】
① 事前検討(任意・推奨)。約款の「供給側接続事前検討」 契約者=小売電気事業者等【約款】9(2)【アクセスルール】6.4.1 約款上は申込みから原則2週間以内(工事の要否・工事種別)。工事費負担金の概算・所要工期は要望すれば回答【約款】9(2)ニ PDF p27【アクセスルール】6.4.1・6.4.3 PDF p18〜19
② 接続供給契約の申込み(新設) 基本契約を結んだ小売電気事業者のみ。電気工事店からの直接申込みはできません【FAQ】No.3【アクセスルール】6.4.4 小売電気事業者と協議して回答予定日を決めます【アクセスルール】6.4.4
③ 技術協議・供給対策検討 送配電会社と需要者・電気工事店の間で行います【申込の流れ】Step3〜4 —
④ 供給承諾(契約成立) 送配電会社から小売電気事業者へ この時点で接続供給契約が成立します。特別高圧は2026年10月から、技術検討結果(最短の供給開始日)の回答と同時に供給承諾・工事費負担金の請求が行われます【申込の流れ】Step5【改定概要】p9
⑤ 工事費負担金の契約・支払い 契約は小売電気事業者と送配電会社の間(第三者が支払う場合も同じ)【FAQ】No.14〜16 原則として工事着手前。特別高圧は承諾日から3か月以内【約款】71(1) PDF p199
⑥ 工事 → 接続供給開始 — 高圧の所要期間は都県別のページで案内されています。特別高圧の標準工期は、送電線新設で架空42か月・地中96か月、変電所新設を含むと120か月程度です【早期情報提供】
⑦ 工事費負担金の精算 — 供給開始後に精算します(特別高圧は原則すべての案件で精算)【約款】71(2)
  • 高圧で2,000kWを超える場合は、事前協議の申込みが求められます。託送申込みには、事前協議をした場合は「事前協議受付No」を、事前検討をした場合は「回答書」を添付します【2022説明会資料】p8。2022年の資料である点に注意してください。事前協議フォームでも「託送申込時は事前協議書を添付」と案内されています【事前協議ページ】。
  • 特別高圧は、事前協議を出すと必ず「供給対策検討」になります(事前協議フォームの留意事項①)【事前協議ページ】。

2. 様式と提出書類

段階 様式 主な添付
⓪ 事前協議 Webフォームに直接入力します(独自の様式番号はありません)。フォーム: https://d-request.jp/PriorHighAttention.jsp 【事前協議ページ】 架空: 付近図、構内平面図(建物・敷地境界・引込位置)、単線結線図、負荷設備明細、装柱断面図。地中: これらに加えて引込・配管詳細図の案、配管接続予定位置の写真。1ファイル5MB以下・合計26MB以下【事前協議ページ】
① 事前検討 「供給側接続事前検討申込書」(広域機関の共通様式 LP1-20240410)。東京電力パワーグリッドの様式一覧からリンクされています【広域様式】 約款上、「需要者の承諾書」を求められることがあります【約款】9(2)ロ。それ以外の添付の要否は確認できませんでした(各社窓口で要確認)
② 接続供給申込み(新設) 接続供給兼基本契約申込書とその別紙(ZIP「申込様式(高圧需要)」2026/9/24更新)【申込の流れ】 新設時の必須は単線結線図、受電設備一覧、負荷設備一覧、構内図、付近図と、撤去・新設申込時の確認票。該当する場合は、自家用図面確認・協議票、契約電力の決定根拠資料、高調波流出電流計算書、系統連系申込書(自家発)、特例区域等確認書【申込の流れ】(一覧表 260924_list.xlsx)
取下げ 接続供給申込み取下げ願い書(メール申込分) 押印済みのPDF【申込の流れ】

単線結線図は任意様式です。変更箇所は朱書きで明示するよう求められています【2022説明会資料】p5。

3. 提出方法と窓口

  • 事前協議: Web(d-request.jp)で、24時間受け付けています。資料もWebで添付します。受持事業所(または業務委託先)から連絡が来ます【事前協議ページ】。
  • 事前検討: メールで提出します。各小売電気事業者に案内済みの「高圧申込用メールアドレス」宛てに、所定の様式を添付して送ります。窓口はネットワークサービスセンター(NSC)です【申込の流れ】【アクセスルール】PDF p13。
  • 接続供給申込み: Web申込システム(https://www32.tepco.co.jp/LV01/dfw/LV-kouji/ 、毎日6:00〜24:00)またはメール(接続供給兼基本契約申込書)。高圧以上の新増設は「小売電気事業者さまのみ」申し込めます【申込の流れ】【FAQ】No.1・5・29【新増設ページ】。
  • 窓口: 事前検討・契約申込みとも NSC 高圧受付グループ(03-3509-1709、アナウンス後「1→2」)【申込の流れ】【アクセスルール】PDF p13。特別高圧の工程や WELCOME ZONE MAP に関する問い合わせはコンタクトセンター(0120-995-007)です【申込の流れ】。

4. 費用

事前検討の手数料: 約款9(2)には調査料の定めがありません。発電側の受電側接続検討は1検討22万円で、扱いが異なります【約款】PDF p26〜27。事前協議(Web)の手数料についての記載も見当たりません。ただし「無料」と明記した文書は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。

工事費負担金(託送供給等約款 70条)

区分 考え方 出典
高圧 新たに作る供給側接続設備の工事こう長のうち、架空1,000m/地中150m(無償こう長)を超える部分に、架空3,520円/m・地中27,830円/m 【約款】70(1)イ PDF p189〜190(約款頁181〜182)
特別高圧 工事費(架空・100m・1kWあたり 20kV:583円、60kV:198円、140kV:99円)が当社負担額を超える分を負担 【約款】70(1)ロ PDF p191
特別高圧(66kVの算出例) 本線は「単価×こう長×kW − 5,500円×kW」。20,000kW・架空3,050mの例で約3,494万円、地中1,050mの例で約3,969万円 【WZM】
予備線 「単価×こう長×kW×20%」。本線単価の20%です(66kV、同一支持物に同時施設する場合) 【WZM】
  • 支払い時期: 原則として工事着手前です【約款】71(1)。特別高圧は承諾日から3か月以内で、支払期日を過ぎると承諾が取り消されます【約款】51(4) PDF p160。取り消された場合、工事着手前でも要した実費が請求されます【改定概要】p11。
  • 概算の確認: 工事費負担金の概算は事前協議で回答されます【改定概要】p11 注2。

5. 高圧と特別高圧の区分・電圧

契約電力 標準供給電圧(公称電圧) 出典
50kW以上 2,000kW未満 高圧 6,000V(6.6kV) 【約款】PDF p36〜37・p66【アクセスルール】PDF p9
2,000kW以上 10,000kW未満 特別高圧 20,000V(22kV) 【約款】19(3)ハ(イ) PDF p67
10,000kW以上 50,000kW未満 特別高圧 60,000V(66kV) 【約款】19(3)ハ(イ) PDF p67
50,000kW以上 特別高圧 140,000V(154kV)。ポテンシャルマップには275kVの地点もあります 【約款】19(3)ハ(イ) PDF p67【ポテンシャルマップ】
  • 特別な事情がある場合や供給設備の都合によっては、標準より上位・下位の電圧で供給されることがあります【約款】13(5) PDF p37。WELCOME ZONE MAP には「契約電力・供給地点に応じて66kV/154kVになる場合がある」とあります【WZM】。
  • 予備線・予備電源: 約款21の予備送電サービスで、A=常時利用変電所から同じ電圧で受ける、B=別の変電所または別の電圧で受けるものです【約款】21 PDF p83。系統アクセスルールでは配電線は1回線が原則で、常時・予備による供給を希望する場合に2回線を検討対象にします【アクセスルール】7.9 PDF p22。事前協議フォームには予備送電サービスA/Bの協議希望欄があります【事前協議ページ】。

6. 空き容量・系統情報の公開

情報 内容 時点 発電側との区別
WELCOME ZONE MAP【WZM】 需要者向けの供給余力(66kV/154kV、段階別とヒートマップ)、工業団地の情報 2025年12月時点 「本マップは需要者さま向け。発電者は空き容量マップ」と明記されています
大規模供給ポテンシャルマップ【ポテンシャルマップ】 154/66kVで空容量50MW以上の変電所、275kVで400MW以上の変電所と、概算工期(5年/10年)の圏域 2026-08-31作成 「空容量マッピングは発電向けで、本マップの供給空容量とは異なる」と明記されています
系統情報(https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/system/ ) 地点別の需要・潮流実績(275/154/66kV、2024年度)、予想潮流、投資計画 2026-09-30更新 発電向けの「空き容量」は予想潮流情報に統合されています。需要側の空容量は上の2つのマップで確認します

発電側の空き容量は、需要側の受電の可否とは別物なので注意してください。

7. 大規模需要(データセンター等)に関するルールと動き

  • 特別高圧の需要の新ルール(2026-10-01実施): 約款改定は2026-06-24に申請され、10月1日実施版として掲載されています。内容は、(1) 需要家の都合で申込みに不備・変更があれば取消(軽微な変更は除く)、(2) 供給承諾から3か月以内に工事費負担金を入金しなければ取消、(3) 技術検討の回答と同時に供給承諾、の3点です。10月1日より前の申込みも対象です【改定概要】p7〜11【約款】71(1)。約款9条の前文にも「申込内容に変更が生じる場合、原則として変更前の申込みは取消し」とあります【約款】PDF p24。
  • 大規模供給ポテンシャルマップ(2025-11-20公開、2026-08-31更新): 「データセンター等を中心とした大規模な供給のニーズが急増」「一部エリアにおいては…工期が長期化」と説明されています。掲載地点は西越谷(66kV)、京北(154kV)、新茂木・北葛飾・新佐原(275kV)です。託送申込みの後に、送配電会社から需要者へ早期供給可能エリアを案内する場合があります【ポテンシャルマップ】。
  • 特別高圧(66kV以上)の早期情報提供のお願い(2026-05-28、2026-08-04更新): 「大型データセンター建設が同時期に進行」しているため、計画の検討が長期化しています。標準工期は、送電線新設で架空42か月・地中96か月、変電所新設を含むと120か月程度です【早期情報提供】。
  • WELCOME ZONE MAP(2025年12月時点): 「供給余力以上の契約電力では電源変電所等の対策工事が必要で、工期が長くなる可能性が高い」とされています【WZM】。
  • 印西・千葉方面: 東京電力パワーグリッドの社内報「東電報」(2024-07-30)は、千葉印西変電所(275kV、国内初のデジタル変電所)と新京葉変電所の間の10.1kmの洞道を約2年で完成させ、2024年6月に運開したこと、「2027年度の電力需要は2017年度の6倍」と見込んでいることを伝えています【東電報】。印西エリアの需要側に固有の受付ルールや、受付停止・制約の公表は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。ポテンシャルマップ(2026-08-31版)に印西周辺の地点は載っていません【ポテンシャルマップ】。

8. 申込み実務のポイント

  • 事前協議と事前検討を区別する: 事前協議は需要者側がWebで出し、事前検討は小売電気事業者がメールで(広域機関様式 LP1 で)出します。需要者が直接 LP1 を提出する運用かどうかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。約款上の事前検討の申込者は小売電気事業者です【事前協議ページ】【約款】9(2)【アクセスルール】6.4.1。
  • 事前協議の申込者: 電気工事店・電気主任技術者「等」が申込者になれ、フォームは需要者名を入力して申し込む形式です【事前協議ページ】。代理人として申し込む場合に委任状が必要かどうかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。約款・案内ページに需要者から代理人への委任状の様式は見当たりません。需要者の承諾書は、契約者(小売電気事業者)への情報開示のためのものです【約款】9(2)ロ・9(4)。
  • 事前検討・契約申込みは小売電気事業者: この段階は基本契約を結んだ小売電気事業者が申し込み、需要者の承諾書も必要になります【FAQ】No.3【アクセスルール】6.4.1【約款】9(2)ロ・9(4)。事前協議の受付Noや回答、図面一式を引き継げるように整理しておくと進めやすくなります。
  • 有効期間: 事前協議は最終協議日から3年経過で無効になります(事前協議フォームの留意事項⑦)【事前協議ページ】。事前検討回答書の有効期間を定めた記載は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 回答は容量の確保ではない: 広域機関は「事前検討は系統連系を確約するものではなく、供給承諾で確定」としています【広域様式】。供給対策検討は契約申込みの受付順に行われます【アクセスルール】PDF p12。事前協議の回答で示されるのは、その時点の供給方法・概算工期・工事費負担金の概算です【改定概要】p11。回答日と前提条件(契約電力・受電電圧・予備線の有無)を記録しておきます。
  • 変更・承継: 申込内容が変われば原則として変更前の申込みは取消しになり、特別高圧は2026年10月から変更による取消の対象です(軽微な変更は除く)【約款】PDF p24【改定概要】p7〜11。名義変更は「需要者情報変更」の申込みで行います【FAQ】No.32。事前協議・事前検討の地位を第三者に承継できるかの規定は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 工事費負担金の当事者: 第三者が支払う場合も、工事費負担金の契約当事者は小売電気事業者のままです【FAQ】No.14〜16。1つの接続供給契約に複数の契約者を置き代表契約者を選任する制度では、手続き・協議・金銭債務の支払いは代表契約者を通じて行います【約款】4 PDF p16。ただし連帯責任の対象から、接続送電サービス料金・予備送電サービス料金・契約超過金・違約金・工事費負担金等の金銭債務は除かれています【約款】37 PDF p139(約款頁131)。

フロー全体は 需要側の系統申込の流れ、電圧区分は 高圧と特別高圧の違い、他エリアは 関西エリア や マップ一覧 も参照してください。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。