東北エリア(東北電力ネットワーク)— 需要側の系統申込ガイド

東北電力ネットワークの区域でデータセンター等が受電するまでの手続き。広域機関の共通様式による無料の事前検討、特別高圧まで対応する高圧託送申込システム、140kV区分、5万〜30万kW向けのウェルカムゾーン。

最終更新: 2026-11-04

供給区域は東北6県と新潟県です。本文中の【 】は末尾の「出典」の略号です。

このエリアのポイント

  • 事前検討の申込書は広域機関の共通様式「様式LP1-20240410」で、関西エリアと同じ様式です【申込ページ】。
  • 事前検討は原則2週間以内に回答され、検討料はかかりません【約款】9(2) p13【特高基準】p14。
  • 高圧以上の工事関係の申込みは Web の「高圧託送申込システム」で行い、契約電力500kW以上や特別高圧もシステムから申し込めます【システムFAQ】No.11。
  • 5万〜30万kW・140kV供給を前提とした「ウェルカムゾーン(大規模需要への供給候補地点)」を公開しています。掲載は15地点(秋田2・宮城3・新潟10)で、青森・岩手・山形・福島は大規模需要への供給に系統増強工事が必要になる見込みとされています【ウェルカムゾーン】p1〜8。

1. 申込みの流れ

高圧・特別高圧とも、骨格は同じです【申込ページ】【特高基準】p13〜19【高圧指針】p25〜32。

段階 申し込む人 期間の目安
① 事前検討(任意) 約款上は「契約者」(小売電気事業者等)です【約款】9(2) p12。社内基準では、特別高圧は「需要側系統連系希望者(需要者または需要者になろうとする者)または契約者」、高圧は「需要側系統連系希望者または需要者」とされています【特高基準】p1, p13【高圧指針】p25〜26。Web上の様式は「小売電気事業者さまへのご案内」に掲載されています【申込ページ】 原則2週間以内。超える場合は理由と見込みが通知されます【約款】9(2) p13【特高基準】p14
② 接続供給契約の申込み 小売電気事業者。新たに接続供給を行う小売電気事業者は、事前に接続供給兼基本契約を締結します。高圧託送申込システムでは、電気工事会社(または電気主任技術者)が入力し、小売電気事業者が確認・承認したうえで受け付けられます【申込ページ】【システムFAQ】No.2, 10〜14 回答予定日は東北電力ネットワークと申込者の協議で設定します【特高基準】p18【高圧指針】p30
③ 供給承諾(契約成立) — 申込みを承諾した時点で接続供給契約が成立します【約款】10 p17
④ 工事費負担金の契約・支払い 契約者(小売電気事業者)。請求などの工程管理はネットワークサービスセンター契約2グループが担当します【実施個所変更】p1〜2 原則として工事着手前。特別高圧の需要は承諾日から3月以内に入金が必要です(2026-10-01から)【約款】71(1) p129。特別高圧では、連系承諾後1ヶ月を超えて工事費負担金契約を締結しない場合も予約取消しの対象です【特高基準】6(4)d p17
⑤ 工事 — 高圧の標準的な所要日数として、接続供給申込みの時期を、官庁申請不要の工事は28日前まで、官庁申請・用地交渉・高圧停止等を要する工事は51日前までとしています。工事費負担がある場合は入金確認後に工事日を調整します【所要日数】
⑥ 受電 — 増強が不要な場合の準備期間は、高圧500kW未満で2週間〜6週間、500kW以上で2週間〜3ヶ月【高圧指針】表3-5 p31〜32。特別高圧で2週間〜4ヶ月、計量器・VCT取替+通信端末の場合は14ヶ月です【特高基準】表6-1 p19。特別高圧は給電申合書を取り交わします

2. 様式と提出書類

段階 様式 主な添付
① 事前検討 供給側接続事前検討申込書「様式LP1-20240410」(記入例・連記式付き、Excel/PDF)。広域機関の共通様式です【申込ページ】 「希望する検討内容・検討レベルに応じて」提出: 使用設備カード(①使用区域平面図 ②単線結線図 ③受電設備明細 ④負荷設備明細)、電灯・動力配線平面図、装柱図、発電設備明細、高調波流出電流計算書、フリッカ対策資料、励磁突入電流関係資料【提出書類一覧】。需要者の情報開示承諾書(または承諾書の提出省略の取り扱いに関する同意書)【申込ページ】【特高基準】p13
② 契約申込み 接続供給兼基本契約申込書「様式PP1-20240410」+別紙【需要場所の概要】【申込ページ】 使用設備カード①〜④(新設は必須)、装柱図(受電柱工事時)、電力使用計画書(協議制・実量制500kW以上)、高調波流出電流計算書、励磁突入電流関係資料(高圧で単機300kVA超の変圧器新設時)、平日・夜間連絡先(特別高圧)、特例区域等の適用に関する確認書/需要場所間の電力融通に関する確認書(該当時)【提出書類一覧】
その他 使用設備カード(Excel)、契約電力変更の算定根拠資料、お客さま設備工事受付確認票、接続供給兼基本契約申込書(分割接続供給用)、蓄電池連系(充電制限)同意書【申込ページ】 —

特別高圧の事前検討に必要な情報として、需要者名称・需要場所・供給地点、敷地平面図・設備レイアウト、供給電圧、予備送電サービス/予備電力の希望有無・種別、契約電力、供給開始希望日、申込者名称・代表申込者・連絡先が挙げられています【特高基準】別表4 p80。契約申込みでは、これに加えて単線結線図(保護回路を含む)、負荷設備の合計容量・総合負荷力率、高調波・フリッカ資料、受電用変圧器(定格・インピーダンス・励磁特性)、調相設備、保護装置などが必要です【特高基準】別表5 p81〜。

別紙【需要場所の概要】には、需要者名称、供給地点特定番号、需要場所、供給地点(財産責任分界点)、業種、約款の需要者事項遵守の承諾有無、契約電力・供給電圧・計量電圧、予備送電サービスA/Bの契約電力・電圧、受電設備・負荷設備・発電設備容量、需要者窓口、主任技術者などを記入します【申込ページ】。

3. 提出方法と窓口

  • 高圧託送申込システム(Web): 高圧以上の各種工事関係の申込みに使います。電気工事会社が登録し、小売電気事業者が確認した後に受け付けられます。契約電力500kW以上・特別高圧もシステムから申し込めます【システムFAQ】No.11。システムで申し込む場合、事前検討申込書・接続供給申込書の鑑は提出不要です【提出書類一覧】※3。紙での申込みも不可ではありません【システムFAQ】No.9。
  • システムの利用申請: 「インターネットによる電気新・増設等申込みサービス 兼 高圧託送申込システム利用申請書」で申請します。低圧の「インターネットによる電気新・増設等申込みサービス」の利用認証が前提です【システムFAQ】No.3〜4【申込ページ】。
  • システム外で事前検討申込書を出す場合の送付先: メールアドレス等の明記は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 窓口: 高圧以上の新増設の事前協議、供給開始日の調整、工事費負担金の請求などの工程管理は、ネットワークサービスセンター契約2グループ(仙台市)が担当します。来所窓口はなく、メールでの連絡が推奨されています【実施個所変更】p1〜2。系統アクセス検討の窓口はネットワークサービス部(ネットワークサービスセンター)です【特高基準】p13【高圧指針】p25。電話番号・メールアドレスは公式ページで確認してください。
  • 季節休業の前には受付の締切が案内されます(例: 2026年シルバーウィーク前は9月4日まで)【申込ページ】。

4. 費用

事前検討の手数料: なし。「事前検討については検討料を申し受けない」と定められています【特高基準】p14。約款9(2)にも検討料の定めはありません【約款】p12〜13。

工事費負担金(託送供給等約款 70条・71条)

区分 考え方 出典
高圧 供給側接続設備の工事こう長が架空1,000m/地中150mを超える部分に、架空3,410円/m・地中27,720円/m 【約款】70(1)イ p122〜123
特別高圧 新増加契約電力1kW・こう長100mあたりの単価(架空で 30kV 352円/60kV 176円/140kV 88円 等)で算定した工事費が、当社負担額を超える部分 【約款】70(1)ロ p123〜124
特別高圧の再算定 使用開始後3年以内に他者と共用になった場合、さかのぼって再算定し差額を返還 【約款】71(3) p129
  • 支払いは原則として工事着手前で、特別高圧の需要は承諾日から3月以内です【約款】71(1) p129。期日までに支払わない場合は、原則として承諾が取り消されます【約款】51(4) p104。
  • 供給設備の施設後、契約者・需要者の都合で供給開始に至らず廃止・変更する場合は、実費を負担します(工事未実施でも測量監督等の実費)【約款】72(1) p130。

5. 高圧と特別高圧の区分・電圧

契約電力 供給電圧 出典
2,000kW未満 高圧 6kV 【特高基準】表9-2 p22
2,000kW以上 10,000kW未満 特別高圧 30kV 【特高基準】表9-2 p22【約款】19 p40
10,000kW以上 50,000kW未満 特別高圧 60kV 【特高基準】表9-2 p22【約款】19 p40
50,000kW以上 特別高圧 140kV 【特高基準】表9-2 p22【約款】19 p40

予備送電サービスは、A=常時利用する変電所から同位電圧で受けるもの、B=別の変電所または異なる電圧で受けるものです。料金は利用の有無にかかわらず毎月発生します【約款】21 p52〜53。予備供給設備を希望する場合は、アクセス線が2回線になります【特高基準】p22。事前検討の申込事項として、予備送電サービスの希望有無・種別が約款に明記されています【約款】9(2) p13。

6. 空き容量・系統情報の公開

  • 需要側(特別高圧・大規模): 「ウェルカムゾーン(大規模需要への供給候補地点)」で、5万〜30万kW程度の大規模供給を希望する需要者向けに、比較的早期(3〜5年程度)に対応可能な供給候補地点を公開しています。標準電圧140kV供給が前提で、2026年2月時点の熱容量による概略検討結果です。掲載例は、秋田の能代変電所10万kW・羽後変電所5万kW、宮城の仙台・明通・高森変電所各5万kW、新潟の新潟変電所30万kWなどです【ウェルカムゾーン】p1〜9。工期は工事着手からの期間で手続期間を含まず、供給可能容量等は事前検討の結果で変わる可能性があります【ウェルカムゾーン】p1。
  • 工業団地の情報: 「主な工業団地への電力供給工事の概要」に、2026-02-27 に特別高圧供給に係る情報(概算工期・工事こう長等)が94団地分追加されました【工業団地】。
  • 需要側(高圧): 配電用変電所・配電線ごとの需要側の空き容量の公開は確認できませんでした。高圧配電系統図(第三者情報を除く)の閲覧・説明は受けられます【高圧指針】p18。
  • 特別高圧の送電線系統図: 各県の窓口で閲覧できます(2.5万/5万分の1地図、コピー・撮影不可)【系統図閲覧】。
  • 発電側の手続との違い: 同じページにある事前相談(無料)・接続検討(有料20万円+税)は発電側の手続で、需要側の受電とは別物です【系統図閲覧】。

7. 大規模需要(データセンター等)に関するルールと動き

  • 2026-10-01 の約款改定(2026-06-24 申請、2026-07-22 認可)【認可プレス】p1〜2:
    1. 供給承諾から工事費負担金の入金までの期限を3カ月以内とし、守られない場合は当該地点の契約申込みを解除します。約款上は特別高圧の需要に限定されています【約款】71(1) p129、経過措置は附則21 p182。
    2. 供給対策工事や技術検討結果に影響する需要家都合の契約申込みの不備・変更があった場合は、契約申込みが取り消されます。社内基準でも、契約申込み内容の変更で系統連系工事の内容を変更する場合(軽微なものを除く)は原則取消しとされています【特高基準】6(4)e p17〜18。
  • 立地誘導: ウェルカムゾーンの問い合わせ先は、ネットワークサービスセンター企業誘致支援グループです【ウェルカムゾーン】p1。
  • 高圧の標準所要日数の変更: 2026-10-01 付で変更され、「供給工事空き状況カレンダー」は廃止されました【所要日数】。
  • 2026-11-01 実施の約款(2026-09-11 届出)も掲載されていますが、変更点は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。

8. 申込み実務のポイント

  • 事前検討の申込者: 社内基準(特別高圧)では「需要者になろうとする者」も事前検討の申込者になり得るとされていますが、約款9(2)は「契約者」(小売電気事業者等)が申し込む構成で、様式LP1の申込者欄も小売電気事業者を想定しています。需要者名義での事前検討を実際に受け付けるかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • システムの利用者: 電気工事会社・電気主任技術者は利用申請により入力できますが、受付には小売電気事業者の承認が前提です【システムFAQ】No.2, 10〜14。それ以外の立場の人が利用者になれるかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 委任状と需要者の書類: 委任状の様式の公開は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。需要者の関係書類としては、「情報開示に係る需要者の承諾書」または「需要者の承諾書の提出省略の取り扱いに関する同意書」が用意されています【申込ページ】。
  • 回答は容量の確保ではない: 事前検討は容量の予約ではなく、容量の確保は契約申込みの受付・承諾で生じます【特高基準】6(4)d p17。事前検討回答の有効期間の定めは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。約款52「名義の変更」は、合併等で成立済みの契約の全権利義務を承継する場合の手続です【約款】52 p105。事前検討回答や承諾前の契約申込みを第三者に承継する規定は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 申込み後の変更に注意: 2026-10-01 以降、需要家都合の変更で工事内容が変わる場合は契約申込みが取り消されます【認可プレス】p1【特高基準】6(4)e p17〜18。契約申込みの前に、契約電力・供給開始時期などの計画を固めておくことが大切です。
  • 記入上の注意: 需要者側に系統へ接続する発電設備・蓄電池がある場合は、接続検討に準じた申込みになります【特高基準】p13【高圧指針】p26。高調波発生機器の新増設がない場合は、申込書の備考欄にその旨を記載します【提出書類一覧】※10。書類に不備があると、原則7営業日以内に修正依頼が来ます【高圧指針】p20。
  • 用地への協力: 契約者(申込者)・需要者は、供給設備の工事・維持に必要な用地の確保や地元説明などに協力することとされています【高圧指針】p32。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。