中国エリア(中国電力ネットワーク)— 需要側の系統申込ガイド

中国電力ネットワークの区域でデータセンター等が受電するまでの手続き。負担金の概算がわかる独自の「簡易検討」、2週間〜1.5か月の事前検討、3万kW以上は100kV、変電所別の供給余力マップと段階的な供給の提案。

最終更新: 2026-11-04

供給区域は鳥取・島根・岡山・広島・山口の各県と、兵庫・香川・愛媛の一部です【約款】p1。周波数は60Hzです。本文中の【 】は末尾の「出典」の略号です。

このエリアのポイント

  • 電気の使用申込み前に使える照会サービスとして、事前検討のほかに中国電力ネットワーク独自の「簡易検討」(約3週間、工事費負担金の概算あり)があります【照会サービス】。
  • 事前検討の回答は、約款上「原則として申込みから2週間以内」です。照会サービスの案内では、工事が要る場合は約1.5か月で、工事内容の詳細・工期・負担金の概算・供給上の諸条件まで回答されます【約款】9(2) p20〜21【照会サービス】。
  • 事前検討の手数料(検討料)は約款に定めがありません【約款】9(2) p20〜21。
  • 契約電力3万kW以上は100,000V(公称110kV)が標準電圧です【約款】19 p66。
  • 「ウェルカムゾーンマップ/供給余力マップ」(2025年11月時点)を変電所別・県別に公開し、大規模需要向けに段階的な電力供給の考え方も示しています【供給余力マップ】【段階的供給】。

1. 申込みの流れ

公式の手順は次のとおりです【窓口ページ】。

事前相談(任意)→ 供給側接続事前検討(任意)→ 事前検討の回答 → 接続供給の申込み → 供給承諾(契約成立)→(他エリアの小売電気事業者の場合)振替供給契約 → 工事費負担金契約の締結・請求・支払い(発生時のみ)→ 工事 → 系統利用協定書ほかの締結 → 接続供給開始

段階 申し込む人 期間の目安
① 簡易検討(任意・中国電力ネットワーク独自の照会サービス) 電気の使用申込み前に立地を検討する「お客さま」向けに案内されています【照会サービス】 約3週間。工事内容・工事こう長・工期・工事費負担金の概算(事前検討より精度の低い目安)【照会サービス】
② 供給側接続事前検討(任意) 約款上は契約者(小売電気事業者等)。需要者の承諾書(情報開示)をあわせて求められることがあります【約款】9(2) p20〜21 約款上は原則として申込みから2週間以内。照会サービスの案内では、工事不要なら約2週間、工事要なら約1.5か月【約款】9(2) p20〜21【照会サービス】
③ 接続供給契約の申込み 契約者(小売電気事業者等)。高圧は、電気工事店が小売電気事業者の委任を受けて代理で申し込めます(Web)【約款】9(4) p21〜25【新増設工事ページ】 申込みを承諾したときに契約が成立します【約款】10 p28
④ 工事費負担金の契約・支払い 契約者 原則として工事着手前。特別高圧の需要は申込み承諾日から3か月以内に支払います(2026-10-01 実施版で新設)【約款】70(1) p210
⑤ 工事 — 高圧は下記の標準所要日数。特別高圧は個別で、ウェルカムゾーンの圏内では工事着手から4年前後【新増設工事ページ】【供給余力マップ】
⑥ 受電 — 系統利用協定書ほかを締結のうえ接続供給開始【窓口ページ】

高圧工事の標準所要日数(申込みから送電まで): 引込線以下で現地調査不要 5営業日、現地調査要 15営業日、変圧器新設・吊替 1.5箇月、高圧受電の電源遮断・復帰 1.5箇月、高圧線新設・張替 1.5箇月(停電ありは2箇月)、電柱新設2本程度 2箇月、地中線 3箇月。官公庁申請が必要な場合は、国道・河川等で +2箇月、県道・市町村道等で +1箇月です。工事費負担金がある場合は入金確認後に工事日を調整します【新増設工事ページ】。

約款は事前検討を「契約者が希望される場合」に行うと定めています【約款】9(2) p20〜21。一方、照会サービスのページは「お客さま」向けに事前検討・簡易検討を案内しています【照会サービス】。需要者本人の名義で事前検討を受け付けるかどうかは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。

2. 様式と提出書類

段階 様式 主な添付
① 簡易検討 簡易検討申込書(Web非公開。ネットワークサービスセンターに請求)【照会サービス】 —
② 事前検討 「供給側接続事前検討申込書 様式LP1-20240410」Excel。広域機関の全国共通様式と同じ番号で、連記式シートで最大30地点まで記入できます【様式ページ】【広域様式】 電気使用場所の住所、地図や平面図、使用開始希望日、契約電力、主な電気設備 等【照会サービス】。単線結線図・使用設備カードの中国電力ネットワーク指定様式はありません【様式ページ】
② 事前検討の回答 「事前検討の申込みに対する回答について」様式LP2-20240410【様式ページ】 —
③ 契約申込み(特別高圧・帳票) 「接続供給兼基本契約申込書」様式PP1-20240410(本紙+別紙【需要場所の概要】)【様式ページ】 需要者の承諾書の写し(提出省略の同意書あり)、単線結線図等(任意様式)【様式ページ】【約款】9(4) p21〜25
③ 契約申込み(高圧・Web) 「託送Web新増設工事申込み」(入力用メモのExcelあり)【新増設工事ページ】 高圧受電設備(開閉器・変圧器・キュービクル等)の仕様、高圧設備の結線図(任意様式)、高圧引込線・計器の取付位置・方法がわかる資料、需要場所の平面図・周辺地図。該当時は高調波流出電流計算書、電気主任技術者の届出が確認できる書類【新増設工事ページ】
③ 契約申込みの回答 「需要設備に関する契約申込みの回答について(承諾)」様式LP3-20240410【様式ページ】 —

事前検討申込書(LP1)には、需要者の名称、供給地点特定番号(22桁・左詰め)、需要場所、供給地点(財産責任分界点)、契約電力、供給電圧・計量電圧、予備電力(予備A/B)、接続供給開始希望日、事前検討に関する需要者承諾状況(承諾者名・電話番号)などの欄があります【様式ページ】。

3. 提出方法と窓口

窓口はネットワークサービスセンター(広島市中区小網町6-12 中電工平和大通りビル7階、平日 9:00〜12:00/13:00〜17:00)で、「原則、メールアドレスにお問い合わせください」と案内されています【窓口ページ】。

  • 事前検討(低圧・高圧): メールで提出します([email protected])【窓口ページ】。
  • 事前検討(特別高圧)・特別高圧の接続供給の新設・増減設: 業務運営第二課(系統アクセス担当)。島根・山口は contact.akusesu1@、広島は contact.akusesu2@、岡山・鳥取は contact.akusesu3@(いずれも nw.energia.co.jp)、TEL (082)544-2571【窓口ページ】。
  • 契約申込み(低圧・高圧): Webの「託送Web新増設工事申込み」システム(利用時間 7:00〜23:00)。利用は小売電気事業者・電気工事店等で、ユーザーIDは [email protected] へメールで申請します。事前に小売電気事業者と託送基本契約を結んでいる必要があります【新増設工事ページ】。
  • 契約申込み(特別高圧): 帳票(接続供給兼基本契約申込書等)をネットワークサービスセンターへ提出します【新増設工事ページ】。
  • 簡易検討・照会サービスの問い合わせ: ネットワークサービスセンター TEL (082)544-2571(9:00〜17:00)【照会サービス】。
  • 供給余力マップの問い合わせ: ネットワーク設備部 系統計画グループ TEL (082)241-7711【岡山変電所PDF】p1。

4. 費用

事前検討の手数料: なし。約款に需要側の事前検討の検討料の定めはありません。有料なのは発電側の受電側接続検討(1受電地点1検討につき22万円)です【約款】9(1)(2) p18〜21。

工事費負担金(託送供給等約款 69条)

区分 考え方 出典
高圧 新設供給側接続設備のこう長が架空1,000m/地中150mを超える部分に、架空3,520円/m・地中28,050円/m 【約款】69(1) p199〜201
特別高圧 工事費単価(100mあたり・新増加契約電力1kWあたり。架空: 20kV 550円/60kV 176円/100kV 110円、地中: 20kV 660円/60kV 539円/100kV 319円)で算定した工事費が、当社負担額 5,500円/kW を超える部分 【約款】69(1) p201〜203
標準設計超過・専用供給設備・予備供給設備 工事費の全額を負担 【約款】69(2) p205〜206

支払いは原則として工事着手前で、特別高圧の需要は申込み承諾日から3か月以内です。工事完成後に精算します【約款】70(1) p210。期日までに支払わない場合は、原則として申込みの承諾が取り消されます【約款】51(4) p169。供給開始前に契約者・需要者の都合で廃止・変更した場合は、要した費用の実費がかかります【約款】71 p212。

工事費負担金の概算は、簡易検討、または工事が要る場合の事前検討で回答されます【照会サービス】。

予備送電サービスの料金(受電後、毎月): 予備A は高圧 111.10円/kW・特別高圧 70.40円/kW、予備B は高圧 167.20円/kW・特別高圧 94.60円/kW【約款】21 p87〜89。

5. 高圧と特別高圧の区分・電圧

契約電力 供給電圧(約款の標準電圧) 公称(マップ等の表記) 出典
50kW以上 2,000kW未満 高圧 6,000V 6.6kV 【約款】13 p30〜32
2,000kW以上 10,000kW未満 特別高圧 20,000V 22kV 【約款】19 p66
10,000kW以上 30,000kW未満 特別高圧 60,000V 66kV 【約款】19 p66【岡山変電所PDF】p1
30,000kW以上 特別高圧 100,000V 110kV 【約款】19 p66【岡山変電所PDF】p1

供給余力マップの変電所別PDFでも「標準電圧は、契約電力が1万kW以上〜3万kW未満の場合は66kV、3万kW以上の場合は110kV」とされています【岡山変電所PDF】p1。

予備送電サービスは、A=常時利用する変電所から同位の電圧で受ける、B=別の変電所または異なる電圧で受けるものです【約款】21 p87〜89。予備供給設備の工事費は全額負担です【約款】69(2) p205〜206。事前検討申込書にも予備電力(予備A/B)・供給電圧・計量電圧の欄があります【様式ページ】。

6. 空き容量・系統情報の公開

  • 需要側(特別高圧): 「ウェルカムゾーンマップ/供給余力マップ」(2025年11月時点)で、110kV・66kVの変電所別PDFと、県別の110kV以下送電線の供給余力(20万kW以上〜1-3万kWの5段階)を公開しています。「変電所や送電線を起点として3kmで4年程度」が目安です【供給余力マップ】。工期・空き容量は、接続供給兼基本契約申込書等の申込み時の詳細検討で変動すると注記されています【岡山変電所PDF】p1。
  • 需要側(高圧): 配電線単位の需要側の空き容量の公開は確認できませんでした(各社窓口で要確認)。個別の地点は事前検討・簡易検討で確認します。
  • 発電側の空容量との違い: 「系統アクセス情報の公開」ページの予想潮流・空容量(220kV以上、110kV以下の県別、PDF/CSV)は主に発電設備の連系用です。需要側の空き容量に当たるのは上記の供給余力マップです。同ページの地点別需要・系統潮流実績(変電所単位・1時間値)や系統構成は、需要側でも参考になります【系統アクセス情報】。

7. 大規模需要(データセンター等)に関するルールと動き

  • 段階的な電力供給の提案: 最終規模だけで申し込むと大規模な系統増強が必要になり、工期が長くなります。増設Ⅰ〜Ⅳ期などの新増設計画を提供すれば、各断面で必要な増強を段階的に行い、工期の課題を解消できる可能性があるとして、早めの相談を勧めています【段階的供給】p1。
  • 契約電力が未決定でも検討可: 簡易検討で契約電力が不明な場合は、A: 6,000V・1,900kW、B: 20,000V・3,000kW の2パターン(希望により C: 60,000V または 100,000V・10,000kW)で暫定的に検討します【照会サービス】。
  • 2026-10-01 の約款改定(2026-07-22 認可): 特別高圧の需要は、供給承諾日から3か月以内に工事費負担金を支払います【約款】70(1) p210。2026-10-01 時点で承諾済み・未払いのものは、契約書の期日または実施日から3か月以内のいずれか遅い日までに支払う経過措置があります【約款】附則17。
  • 2026-11-01 実施版(2026-08-24 届出)も掲載されています。供給側接続事前検討の条文(9(2)、2週間以内の回答)は10月版と同じです【約款】。

8. 申込み実務のポイント

  • 簡易検討と事前検討を使い分ける: 工事費負担金の概算を早めに知りたい場合は簡易検討(約3週間)、工事要否と詳細な条件を確認したい場合は事前検討(工事要なら約1.5か月)が案内されています【照会サービス】。
  • 代理での申込み: 高圧の接続供給申込みは、電気工事店が小売電気事業者の委任を受けて代理で申し込めると明記されています【新増設工事ページ】。事前検討を代理人名義で申し込めるか、委任状が必要かは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。
  • 記入漏れに注意: 申込書は記入例を確認のうえ記入漏れのないよう求められ、記入漏れは再提出になります。供給地点特定番号は22桁・左詰めで、新設の場合は空欄です【窓口ページ】【様式ページ】。
  • 申込内容の変更: 申込内容に変更が生じる場合、原則として変更前の申込みは取り消したものとみなし、あらためて申し込みます【約款】9 p17〜18。
  • 回答は容量の確保ではない: 供給余力マップでは、工期・空き容量は申込み時の詳細検討で変動するとされています【岡山変電所PDF】p1。事前検討回答の有効期間の定めは確認できませんでした(各社窓口で要確認)。約款52条の名義変更は、成立済みの接続供給契約の権利義務を承継する場合の規定で、事前検討回答の承継の規定は確認できませんでした(各社窓口で要確認)【約款】52 p171。
  • 特別高圧は支払期限を見込む: 承諾から3か月以内に工事費負担金を支払わないと、原則として承諾が取り消されます【約款】70(1) p210・51(4) p169。承諾の時期と資金の手当てをあわせて計画しておくと進めやすくなります。

出典

確認日はいずれも 2026-10-01。